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第0章 はじめに

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02. 緊縛について

「緊縛」
この言葉を聞いて、どんな事を連想しますでしょうか?
縄により全身の自由を奪われ、緊縛師(縄師)の責めを一方的に受け、それにより性的快感を高めていく淫靡で妖艶な世界が浮かぶ方が多いと思います。
そんな「緊縛」の世界の、歴史的背景と現在の状況について、お話ししてみたいと思います。

本サイトでの緊縛イメージ1 Akari
本サイトでの緊縛イメージ1 Akari

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・緊縛の歴史的背景

もともと「緊縛」は性的な意味があった訳ではありません。
現在では、辞書で「緊縛」という単語を調べると、「しっかりと縛ること」「きつく縛ること」などとなっています。ただ、現実には「緊縛」という単語をSM行為と切り離して連想する人はいないと言ってもいいのではないでしょうか?

しかし、江戸時代に「緊縛」というと、ほとんどの場合、罪人の拘留/処刑/刑罰に用いられた縛り方のことを指していました。
現在のように「緊縛=SM行為の一つ」となったのは戦後であったと思われます。

一体、どのような歴史的流れでこのような事になったのでしょうか?
分かる範囲で解説したいと思います。

・室町時代から江戸時代初期
室町時代から江戸時代にかけて、罪人を拘束する為の技術として捕縄(捕縛)術というものがありました。当然、最初は大陸文化の影響もあったと思われます。
ただし、戦国時代などの時代的な背景を考えると、明確な方法論とかがあったというよりも、各大名ごとの縛り方やレベルなどに大きな違いがあったのではないかと思います。

・江戸時代
江戸時代に入り日本は鎖国を行うようになりました。これによって、海外(大陸)からの情報や技術の流入が事実上無くなりました。
この為、日本では、切断が比較的難しい「金属製の手錠」や「皮製のベルトやバンド」などが発達しませんでした。
必然的に、前時代から引き続いて縄だけで罪人などを拘束する捕縄(捕縛)文化が残り、発展していく事になります。

手錠のように手首だけを縄で縛り、腕や肩の関節が動く状態にしておくと、少し時間をかければ縄を弛めたり切断するなどしたりして、比較的容易に拘束を解く事が可能です。
縄で長時間人間を拘束するには、あらゆる関節の動きを制限し、例え部分的に緩んだり切断されたとしても、拘束を維持する必要があります。また、同時に身体に損傷を与えない(血流を維持し、筋肉・神経を傷めない)まま拘束する必要もありました。
さらに、江戸時代は士農工商の身分階級制が敷かれ、捉える罪人の身分によって縛り方を変える必要があったようですし、江戸町奉行所では四季で縄の色を変えていたとも言われています。
また、拘束だけではなく、「駿河問い」のように、その縛り自体に拷問的要素が加わったり、市中引き回しなどの刑罰にも使われる場合もありました。

しかし、捕縄(捕縛)や緊縛が、性的な行為として結び付けられなかったわけではなく、「縄師(現在とは意味が少し異なる)」という肉筆の浮世絵を描いた絵師は存在したようですし、「危な絵」と呼ばれる強姦や強制猥褻などを描いたものも存在したようです。
ただし、浮世絵とは言え、現在の出版物とは影響力が異なりますので、どの程度一般に広まっていたのかは分かりません。

とにかく、このような時代背景のもと、「緊縛」が日本独自の文化として発展する事になりました。

・明治時代以降
日本で「緊縛(捕縛・捕縄)」が性的な行為に結びつけられ、それが人々に広く浸透するようになったのは、明治時代以降であったと思われます。
明治時代以降に登場した、幾人かの絵師や作家などの影響によるもののようです。当然それには、開国による西洋からの知識(SM)や出版技術の流入があった事も関係があると考えられます。
また、当然の事ながら、海外から金属製の手錠などの文化も入って来ました。
しかし、この明治~大正~昭和の戦前までは、まだ警察などで捕縄(捕縛)術を継承しており、その流派は150を超えていたとも言われています。
この為、昭和初期までは、「緊縛=SMの行為の一つ」というように完全にイコールではなく、「緊縛は、罪人を拘束する手段だけれども、SM行為で行う人もいる」程度の認識だったと思われます。

しかし、現在では、犯罪者を拘束する為に縄が使われる事は殆どなくなり、その技術はSMの技法の一つとして残る事になり、そして発展するようになりました。
現在では「KINBAKU」「SHIBARI」として海外でも通じる日本を代表する文化の一つになっています。特に海外では、SMプレイとしての性的な意味合いはもちろんですが、芸術(Art)として一つのジャンルを形成するまでになっています。

本サイトでの緊縛イメージ2 Soa
本サイトでの緊縛イメージ2 Soa

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・緊縛の現状

それでは、「緊縛」のおかれている現状はどうでしょうか?
残念なのは、これだけ独自に発展してきた日本的文化であるにも関わらず、日本の時代劇(テレビドラマや映画)における、罪人の捕縛・捕縄の表現が、あまりにお粗末な事が多い事です。
これは、日本国内での「緊縛(捕縄・捕縛)」は、その歴史的事実よりも、成人向け性的趣向のジャンル一つとして社会的なイメージが定着しすぎているせいだと考えています。
また、現代における緊縛表現の主な舞台とも言えるアダルトビデオなどの世界ではどうかと言えば、名のある緊縛師(縄師)が制作に関わっている作品は別にして、綿ロープを使いゆるく縛った菱縄縛りだけで「緊縛調教!」などと謳ってる作品が多いのも事実です。
理由は後述しますが、これも、少し悲しいですね・・・。

また、「緊縛」というキーワードでGoogleの画像検索をかけてみた結果が、次の画像です。

「緊縛」Google画像検索結果 (2016/03/20)
「緊縛」Google画像検索結果 (2016/03/20)

先ほど、お話しした安っぽいアダルトビデオの緊縛とは異なり、著名な緊縛師(縄師)の方が施した見事な縛りの写真が並びます。
しかし、この検索結果をご覧になって、次のような感想を持たれる方も多いのではないでしょうか?

「同じような写真ばかりだな・・・」

詳細に見ていけば、緊縛師(縄師)の方の縛りの違いや作風の拘りなどあるとは思うのですが、そこまで眼の肥えた方は限られると思います。
世間一般の感覚からすると、どうしても同じような印象になってしまうのが、「緊縛」の現状ではないでしょうか?

しかし、現在の日本では、大手出版社から写真集や本を発売したりしている方から、サークル・同好会のような活動をされている方など、非常に多くの縄師・緊縛師と呼ばれる方々が日本全国各地で活躍されています。それに加えて、私のようなアマチュアの愛好家までいるくらいです。
その層の厚さは、海外では見られないレベルになっています。

【追記 2024年】
2016年当時、以上のような話の展開をしていたのですが、2024年5月の時点で再度「緊縛」というキーワードでGoogleの画像検索をしてみると・・・

「緊縛」Google画像検索結果 (2024/05/20)
「緊縛」Google画像検索結果 (2024/05/20)

このように、かなり雰囲気が変わってきました。アニメキャラ風のイラストなんかもあります。これが良い事なのか悪い事なのかは分かりませんが、時代は少しづつ変化しているようです。

本サイトでの緊縛イメージ3 Yuri
本サイトでの緊縛イメージ3 Yuri

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・勘違いされやすい言葉

少し話題を変えて、先ほど、海外でも「KINBAKU」「SHIBARI」という言葉は、海外でも通じるようになってきたとお話ししました。

逆に、日本人が海外から入ってきた言葉や、あるいは元々ある日本語でも勘違いをしている面が多くみうけられます。
ここで、幾つかの例をあげてみたいと思います。

・緊縛師と縄師
このサイトでも、緊縛師と縄師を同一の意味合いがあるとして扱っている事が多いですが、本来は少し意味が違っているようです。

「緊縛師」は、性的な虐待を目的とした縛りを行う者。
「縄師」は、美の表現として縛り行う者。(性的意味や虐待とは無縁)
このような違いがあるようですが、SMショーをやってる方が「縄師」と名乗っていたりするので、現在ではかなり曖昧になっているようです。

・Bondage (ボンデージ)
英語で拘束状態を示す意味になります。 特に縄での拘束に限ったわけではなく、バンドやベルト、手錠や鎖(チェーン)など、拘束する為の道具を限定する言葉ではありません。 あえて言えば、Rope Bondageとすれば、緊縛の事を示すと言えると思います。

・BDSM (ビーディーエスエム)
B : Bondage(拘束状態)
D : Discipline(折檻・懲戒) or Domination(支配)
S : Sadism(サディズム) or Submission(服従)
M : Masochism(マゾヒズム) or Manipulation(操作)
いわゆる「拘束状態での調教SM」を意味し、広い意味では一部の緊縛も含まれるという言葉です。

・Tie/Tying
結ぶ・縛る・くくりつけるという事で、日本語訳が示すのと同様に日常会話で普通に使用する単語です。

どの単語も緊縛の事も示す事は出来ますが、本来はもっと広義な意味を持っており、「緊縛」そのものを示す単語が海外には存在しません。
単語の世界から考えても「緊縛」というのがいかに日本独特な文化であるかが分かります。
「KINBAKU」「SHIBARI」などという単語が、海外でも使われるようになったのもうなずけます。

また、緊縛というより「SM」という単語についてになりますが、Sは「Sadism(サディズム)=責める側」であり、Mは「Masochism(マゾヒズム)=責められる側」であるのは、皆さんご存知の通りです。
しかし、Sから始まる英単語には「Slave(スレーブ)=奴隷・支配される」という物があります。また、Mには「Master(マスター)=主人・支配者」という意味の単語があります。
「SM」というプレイでは、見た目は確かにSadism(サディズム)とMasochism(マゾヒズム)ですが、本当はSlave(スレーブ)とMaster(マスター)なのではないか?と考えています。
確かに、Sとなる者が責め手となっていますが、それはMとなっている者が満足する為にSが尽くしている。実際のその場の支配者(Master)は、Mなのではないでしょうか?
そういう意識を持つ(特にS側)事が、安全などに繋がってくるのではないかと思っています。

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・緊縛に対する想い

これまでにお話ししてきたような背景のある「緊縛」という世界。
SM行為としての「緊縛」は、相手の抵抗する精神力まで奪い、絶対服従せざると得ない状況を作り出します。
それも、当然です。もともとは、罪人を拘束する為に使われていた技術なわけですから。

でも、SMにおける緊縛は、江戸時代の罪人に対する拷問とは違います。

緊縛で縛られた側は、確かに体の自由が奪われます。
しかし、それによって精神面(心)は逆に開放されるのではないでしょうか?
普段なら照れくさくて拒否している行為でも、受け入れざるを得ない状態。
縛る側と縛られる側、相互の信頼関係が根底にあるからこそ、特殊な状況下であっても、性的興奮を高めて行く事が可能なのです。
そして、緊縛を含めたSM行為というのは、人間だけが行える高度なコミュニケーション術です。哺乳類であれば必ず性行為はします。
でも、SM行為が出来るのは人間だけなのです。

その高度な行為をいかに楽しむか?。やはり最低限の知識は必要となってきます。
緊縛は、一歩間違うと動脈や筋、神経を傷める事もあります。ハードな縛りを長時間行い、手に痺れが残ったまま取れないと言った話はよく聞きます。また、一時イタリアなどで大きなニュースになった事もありますが、場合によっては相手が亡くなる場合だってあります。
緊縛を含めたプレイは相手の同意を得た上で行うのはもちろんですが、その相手の体調の変化や精神状態を逐一確認しながら進めていく必要があります。
そして、プレイがハードだったのに、(ワザと付けた時間が経つと消えるようなアザとかは別にして)後遺症が残らず無事に済んだという事は、それは責め手の最高の愛情表現の証となります。

また、前述の「緊縛の現状」の項で、ゆるい縛りで「緊縛調教」などと謳うアダルトビデオが多いのが少し悲しいと書きましたが、これもよく考えれば理由があるのです。
安易に本格的なSM・緊縛調教の撮影をすると、女優さんの体力的な消耗に加え、身体にアザが残ったり、筋肉痛や手足の痺れが残ったりする可能性はゼロではありません。
すると、AV女優の事務所としては、その後の別の作品撮影や撮影会などのイベントのスケジュールに支障が出る恐れがあります。
さらに、その撮影を行った監督やプロダクション(AVメーカーやレーベル)は、場合によっては、事務所や女優本人から損害賠償請求をされる可能性もあります。

女優を抱える事務所としては、安易に本格的な緊縛(SM)の仕事は受けたくないし、AV監督やプロダクションは、そんな危険な可能性は最初(企画段階)から排除しておきたいという事情があるのです。

「緊縛」とはそういう行為なのです。

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・このサイトの内容について

このサイトでは、独学での習得ではありますが、私自身がモデルを緊縛し、それを撮影した写真作品がメインコンテンツとなっています。
また、その為に習得した知識や技術的な内容を、この「緊縛の方法・やり方」と言う緊縛解説としてまとめ、記事にしています。
現在、主だった内容は以下のようになっております。

01-01 軽い拘束から緊縛へ
いきなり本格的な緊縛を行うのはなく、ちょっとした拘束を試してみましょうという内容。

01-02 縄の種類
緊縛に使われる縄の種類とその特性について。

01-03 緊縛の種類
様々な縛り方を、実例写真を交えて解説しています。

01-04 麻縄のなめし方
緊縛に麻縄を使用する場合、事前にしておくべき「なめし」という行為のやり方。

01-05 麻縄の縄尻処理
緊縛に使用する麻縄について、その縄尻処理の重要性と方法について。

02-01 緊縛で忘れてはいけない事
緊縛を行う上で、絶対に忘れてはいけない事を記述しています。

02-02 実際の緊縛での原則・概念
緊縛を行う上で、やってはいけない事や考え方などについて記述しています。

02-03 緊縛写真
緊縛を行ったら、写真を撮りたいと思う人もいるでしょう。その写真について思う事を記述。

02-04 緊縛と怪我 - 緊縛事故の防止
緊縛を行った場合に発生する可能性のある怪我や病気について記述。

02-05 緊縛の受け手の自己防衛・責任
緊縛の受け手となる人の自己防衛や責任など注意しなければいけない事について記述。

03-01 後手縛り
基本とも言える「後手縛り」の具体的な縛り方解説です。

03-02 胡座縛り
比較的手軽に拘束が可能な「胡座縛り」の具体的な縛り方解説です。

03-03 梯子(はしご)縛り
縛り方が不明で一部の方に話題だった梯子縛りの縛り方解説です。

極一部は会員専用の内容となっていますが、ゲストページの内容でも初心者の方には十分な内容になっております。
また、一度書き上げてそのままではなく、必要に応じて追記・修正も行っており、この他の内容についても、記述が完了しだい公開していく予定です。

メインコンテンツの写真緊縛解説が主な内容になっており、私自身、拙い縛りと撮影であると認識はしておりますが、このサイト独特な「緊縛」という世界感を楽しんで頂ければと思います。

本サイトでの緊縛イメージ4 Nana
本サイトでの緊縛イメージ4 Nana

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