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第2章 緊縛の心得

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04. 緊縛と怪我 - 緊縛事故の防止

緊縛に100%安全はありえません。

縛る側の技量だけではなく、縛られる側の体質や体調によって、様々な状況が考えられます。
万が一にも突発的な状態になった場合に慌てるのではなく、どのような危険な状況が想定されるのかをあらかじめ知っておく事は、緊縛事故の防止の為に非常に重要です。

どの症状にも言える事ですが、どんなに完璧な縛りをしたとしても、適切なタイミングで縄を解き、体をほぐす休憩時間などを作るようにする余裕が縛る側に必要です。
いくら、縛れた側が「大丈夫」と言っても、自覚症状がないだけかも知れません。むしろ自覚症状が出てからでは遅い場合もあります。
相手の様子を冷静に観察して、予期せぬ事態に陥らないように細心の注意をはらって下さい。

ここでは、緊縛を行った場合に起こりうる怪我(ケガ)や病気の症状について、幾つかの原因別に解説していきたいと思います。

緊縛時のチアノーゼ発症例
緊縛時のチアノーゼ発症例

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1.血流を滞らせる(止める)事で発生する怪我や病気

・チアノーゼ(紫藍症)

血流が限度を超えて滞る為、その先(心臓から遠い部分)が紫色などに変色する症状。
医学的には「体表層毛細管中の血液の還元ヘモグロビン量が100ml中5g以上になると現れる症状」となるが、要は血液中の酸素濃度が極端に少なくなった状態である。
縛られた本人に特に痛みなどの自覚症状がなくても、この症状がでれば出来るだけ速やかに緊縛を解き、軽いマッサージなどを行い、血流の回復を促す必要がある。

・皮下出血

縛られる人の体質にもよるが、縄がかかっていない部分であるにも関わらず、内出血を起こす場合がある。
何かしらの疾患(糖尿病など)を抱えている場合もある為、すぐに緊縛を解き、後日でもいいので病院で精密検査を受ける事を推奨。

・血栓症(静脈血栓、肺塞栓症、脳梗塞)

血液の流れが滞るだけで、血栓のもとになる血小板などの塊が出来やすい体質の人がいる。
緊縛を解いた後に血流が戻る事で、手足に出来た小さな塊が肺や脳などに流れていき血栓となり、肺塞栓症や脳梗塞となる事がある。(いわゆる「エコノミークラス症候群」と同じ)
緊縛後、暫くたつにも関わらず気分が悪くなるような場合は、命にかかわる場合がある為、素人判断せずに速やかに病院に行くべきである。
予防としては、緊縛前に十分な水分を取る事をお勧めするが、完全に防止出来るわけではない。

・身体の部分的な冷え(特に四肢)

血流が滞る為、手や足先などが冷たくなる。
もともと日常的に冷え性の症状が強く出る人の場合、非常に辛い症状になる場合がある。
すみやかに緊縛を解き、冷えを感じる部分を温めながら、マッサージを行う必要がある。

・めまい/動悸/息切れ/吐き気

血流を妨げるという事は、少なからず心臓にも負担をかける行為である為、「めまい」「動悸」「息切れ」「吐き気」などの症状が出る場合がある。
縛られた側が、このような症状を訴えた場合、すみやかに緊縛を解き安静にさせるべきである。

めまいのイメージ
めまいのイメージ


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2.身体の部分圧迫で発生する怪我や病気

・皮下出血(内出血)

血管がもろい体質の人の場合、それほどきつくない縛りでも縄のかかっていた部分に内出血を起こす場合がある。
症状が酷い場合は、何かしらの疾患(糖尿病など)を抱えている場合もある為、後日でもいいので病院で精密検査を受ける事を推奨。

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3.神経圧迫で発生する怪我や病気

・神経麻痺(橈骨神経麻痺など)

腕や脚の神経が、極度に圧迫される事により、手や脚(足)に痺れが残ったり、力が入らない、思うように動かせないなどの症状になる。
軽度の場合は、時間が経過する事で回復するが、酷い場合は数日~数ヶ月症状が残ったり、もっと酷い場合は何年経っても回復しないという場合もある。
緊縛で起こる神経障害の代表例として、橈骨神経麻痺(とうこつしんけいまひ)が挙げられる。
これは、次に示す画像のように、腕の橈骨神経は、上腕の骨の外側を回り込むように通っており、そこが緊縛時に縄をかける事の多い部分と近い為である。
橈骨神経麻痺以外は気にしなくていいと言う事ではなく、緊縛においては縛り方次第であらゆる神経障害が発生する可能性がある。
万が一、何等かの症状が出た場合は、すみやかに病院に行き、適切な治療を受ける必要がある。
(緊縛師の中には「神経症なんかほっとけば治る」などと言う人がいるが、そういう無責任な人の言う事は信用しないように。)

腕の主な神経(橈骨神経・正中神経・尺骨神経)
腕の主な神経(橈骨神経・正中神経・尺骨神経)


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4.無理な体勢をとる事で発生する怪我や病気

・捻挫のような症状

関節を捻るような体勢のまま緊縛された場合、その関節が捻挫したのと同じ状態になる場合がある。
関節の柔軟性は個人差があるので、決して無理な体勢で緊縛される(する)事がないように注意する必要がある。

・チアノーゼ(紫藍症)

縄による圧迫で発生する血流障害ではなく、無理な体勢をとる事で発生する血流障害が原因。
次に示す写真は、手首から先の手の部分の肌が紫色に変色しているが、実際には縄はそれ程キツク絞めていない。
これは、無理な体勢によって血流障害が発生し、チアノーゼになっている例である。
また、腕を肩より上にあげるだけで血流障害を起こすような人もいる。
これらの場合も、出来るだけすみやかに縄を解き血流を回復させる必要がある。

緊縛:無理な体勢が原因のチアノーゼ
緊縛による無理な体勢が原因のチアノーゼ

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5.長時間プレイで発生する怪我や病気

・血栓症(静脈血栓、肺塞栓症、脳梗塞)

「エコノミークラス症候群」と同じで、長時間同じ体勢を維持する事で、手足の血管内に血小板などの塊が出来て、それが肺や脳に流れて血栓となる。
旅客機などに搭乗している場合は、本人の意思で立ち上がったりして体を動かす事も出来る。
しかし、手足を緊縛された人は、本人の意思では動く事も出来ない。
緊縛では、縛った側が縛られた側に対する責任を全て背負っているという認識を持ち、興味本位の安易な「放置プレイ」は厳禁である。
緊縛後、少し時間がたつにも関わらず気分が悪くなるような場合は、命にかかわる場合がある為、素人判断せずに速やかに病院に行くべきである。

・筋肉痛

無理な体勢で緊縛された場合、無意識に手足に力が入り続けるような場合がある。
この場合は、緊縛後に筋肉痛になる場合がある。
たかが、筋肉痛とは言え、暫くは日常生活に支障をきたす程の痛みを伴う場合もある為、十分な注意が必要。

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6.状況により発生する怪我や病気

・過呼吸

精神的な不安感や恐怖感が原因で、過呼吸になる人がいる。
緊急対策としては、ビニール袋などで口と鼻を覆い、吸い込む空気内の酸素量を減らすなどがあるが、緊縛自体も中止して縄を解くべきである。

・パニック障害のような症状など

精神的な不安感や恐怖感が原因で、パニック障害のような症状や必要以上に精神的に不安定になる人がいる。
緊縛自体を中止して縄を解き、相手を落ち着かせる努力をするべきである。

・既往症の発作 (喘息など)

縛られる側が、何かしらの既往症を抱えている場合は、緊縛は行わない事を推奨する。
緊縛を行う場合は、縛る側は発作が起こった場合の対処方法を習得し、何度か練習をしておく事。
また、特に見逃しがちなのが、糖尿病心臓疾患を患っている人に対して緊縛を行ってはならない事である。
(糖尿病の人は、血管がもろくなっている可能性が非常に高い為)

・擦過傷

いわゆる擦り傷の事。
麻縄で縛ると、その毛羽(ケバ)の状態により、ぽつぽつとした小さな出血を伴う事が多いが、ここで述べるのは完全な擦り傷の事である。
緊縛では、縛った際に行う他のSM行為を想定して、縄の締め付けの強さや縄筋をコントロールする必要がある。
しかし、それが出来ない縛り手の場合、行為の途中で縄が肌の上を滑り擦り傷となる事がある。
軽傷であれば通常の擦り傷同様に数日で完治するが、酷い場合は火傷のようになる事もあり、この場合はキズ痕が残る可能性もある。
使用した縄が、きちんとなめして消毒を行っていない可能性もあり、またその他の原因による感染症を防ぐ為にも出血部分の消毒を行う必要がある。
(火傷のようになっている場合は、それに適した対処をする必要がある)

パニックのイメージ
パニックのイメージ


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7.その他、吊りなどを行う場合に怪我や病気

ここの項目については編集が終わり次第の公開とさせて頂きます。 また、これまでの項目に関してもここで示した症状が全てではありません。
私自身が忘れていたり知らない怪我などもあると思います。
ただ、気になっている方には、重要な情報だと思いますので、気が付いたら、その都度追記していきたいと思います。

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【他の緊縛についての解説リスト】

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